相続士、はじまりのはじまり。

相続士の仕事はじめました。日々の仕事、出来事、雑感を書いています。

相続で揉めやすいパターン

相続や相続準備のご相談を受けていて思うのは、

近しい人ほど揉めだしたらこじれるということです。

特にきょうだいと介護・看護をした場合に顕著です。

 

幼い頃からきょうだい間で違う扱いを受けてきた場合、

一旦こじれだすと、感情のもつれから尾を引いてしまいます。

 

「長男だから」就職祝いに新車を買ってもらったお兄ちゃん。

「長女だから」成人式の振袖を新調してもらったお姉ちゃん。

 

弟も妹も、その時は何も言わなくても、心の中にはいつも

お下がりだった記憶がひっそり残っているものですし、

最悪の場合は裁判までいってしまうこともあります。

 

「そんなことぐらいで権利を主張するなんて」とか、

「そんな昔の話で細かいこと言わないでよ」というのは、

幼い頃傷ついてないお兄ちゃんお姉ちゃんの言い分です。

 

問題は金額ではなく、心の問題なのですね。ですから、

親しき中にも礼儀ありといいますように、きょうだい間でも

相続においてはお互いの気持ちを察する作業が大切です。

 

残念なことに裁判までいくと、どちらが勝っても負けても

その後の付き合いはほとんどなくなってしまいます。

 

せっかく縁あって同じ家族に生を受けたのですから、

相続を機に縁切りなんてできるだけ避けたいものです。

 

もうひとつのパターンは、お義母さんやお義父さんの

介護をお嫁さんがしたにもかかわらず、いざ相続という段

になると部外者としてはじき出してしまうケース。

 

これは法的な権利がお嫁さんにはないだけに泣き寝入りに

なりがちです。あとあと人間関係にしこりが残らないよう

注意することをお勧めします。

 

最後に、きょうだい間で話し合って、親御さんの老後の

面倒を見た人が多めに相続すると決まりかけたところで、

少なめに相続する人の配偶者が平等な分割を求めるケース。

 

上記の例は、いずれも生前に正式な遺言書を書いておくか、

エンディングノートに希望する内容と根拠をはっきり書いて

おくことをお勧めします。

 

注意点は、エンディングノートにただ書くだけではなく、

関係者全員を集めて、

全員の前でエンディングノートを書いたことを話し、

書いた内容とその理由まできちんと説明して、

自分の死後、その希望を守って欲しいという思いを

「全員に」伝えておくことです。

 

エンディングノートは法的効力はないのですが、

この手順を踏むことでトラブル回避効果があります。

 

また、「遺言書を書けば遺族が揉めることはないだろう」

と思われがちですが、実は遺言書が元でトラブルになる

ケースも多いのです。遺言書は万能ではありません。

 

残された家族が苦しまなくて済むように、

エンディングノートを書くことをお勧めします。

 

 

エンディングノートの選び方